
「安心実現のための緊急総合対策」に独占禁止法強化が含まれる
景気の悪化、物価上昇など国民の不安感が増すなかで、政府は8月29日、「安心実現のための緊急総合対策」を発表しました。国費2兆円、事業費11兆7,000億円にのぼる予算規模の総合経済対策が打ち出され、その具体的施策として、「(第1の目標)生活者の不安の解消」「(第2の目標)『持続可能社会』への変革加速」「(第3の目標)新価格体系への移行と成長力強化」がうたわれています。
3番目の「新価格体系への移行と成長力強化」では、中小・零細企業等への支援が打ち出されています。ひとつは中小・零細企業金融の円滑化、新たな保証制度の導入、セーフティネット貸付の強化による「資金繰り対策の拡充」であり、もうひとつが「下請事業者保護の強化」です。
■ 経済対策としての規制強化
ここで注目されるのは、下請事業者保護の具体策として、相談体制の拡充、買いたたきの具体的内容の明示、下請適正取引ガイドラインの改訂等の措置、周知徹底とともに、「優越的地位の濫用等に対する課徴金の導入等の独禁法改正」「下請法・独禁法の厳格運用(執行体制の拡充、下請法に基づく検査の積極的実施、書面調査実施)」が盛り込まれていることです。
優越的地位の濫用とは、取引上、優越的地位にある業者が、取引先に対して不当に不利益を与える行為のことをさします。これまでには大手流通業者が、納入業者に押し付け販売を行なったり、派遣社員を要請したり、算出根拠の明らかでない金銭の要求をしたりといったケースで、公正取引委員会が排除勧告を行ない、流通業者が応諾した事例がありました。
現行法では、不当な取引制限や支配型私的独占に対する課徴金制度が設けられていますが、「優越的地位の濫用」については課徴金制度の対象にはなっていませんでした。
下請事業者保護の観点から、独占禁止法の強化はたびたび俎上に乗せられてきました。課徴金制度の強化に関しては「抑止力が不十分であり、欧米並みに上げるべき」という声がある一方で、実質的な行政上の制裁に対する財界の抵抗は強く、日本経団連が反対意見を表明するなど、その審議は難航してきました。
前国会で提出された法案には、「排除型私的独占」「不当廉売、差別対価、共同の取引拒絶、再販売価格の拘束」「優越的地位の濫用」「不当表示」まで課徴金の適用範囲に含めることが盛り込まれていましたが、継続審議となっていたところです。
今回の対策に「独禁法改正」が明記されたことは、次期国会では必ず法案を通したい、という政府の強い意思が感じられます。
いずれにせよ、中小企業にとって下請事業者保護強化が実効性のあるものになることを期待したいところです。

|
◎ 迷惑メール規制の強化
|
ことし6月の特定商取引法改正では、承諾をしていない者に対する電子メール広告提供の禁止などの規制強化が盛り込まれました。
この改正をふまえて、携帯電話のショートメールサービスを規制対象に加える、規制の適用除外の範囲を定めるなど、関連規定を整備する特定商取引法施行規則の改正案が明らかになっています。
|
|
◎ 「富士山ナンバー」が誕生?
|
地域振興や観光振興、地域の一体感の醸成等の観点から、ナンバープレートの地域名表示の弾力化が行なわれています。
そのひとつとして複数の運輸支局の管轄にまたがる地域ということから慎重な検討が進められてきた「富士山ナンバー」について、国土交通省は導入可の判断を下し、関係省令の改正についてパブリックコメントを募集しています。
|
|
◎ 国際民事紛争のルールづくり
|
日本人や日本企業が国際的な係争に巻き込まれたとき、どの国で裁判を行なうかについて、これまでは法律に明確な規定がなく、判断に従って個別に判断されてきました。
安心して海外取引を行なうためには法整備が必要という声の高まりを受け、そのルールの概要を示すことなどが法制審議会に諮問されています。
|
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・エヌ・ジェイ出版販売